遺伝子の不思議

8月4日に二人目の孫が生まれた。七ヶ月あたりから流産の恐れがあって彼女の母は入院することになった。それからひと月、これ以上お腹の中にとどまることが難しくなった。二千五百グラムに満たない彼女はこの世に生まれてきた。これから1ヶ月ちかく彼女は保育器になかで過ごすことになる。

彼女に面会できたのは、生まれてから十日ほどたった後だった。とても小さい。彼女に触れることはまだ許されなかった。見ていると、大きく伸びをし、小さく欠伸をする。ふと、彼女には旋毛(つむじ)が二つあるのに気付いた。彼女の父も母も旋毛は一つ、彼女の母方の家系には二つ旋毛はいないそうだ。

旋毛の形や数は遺伝に起因するのだそうだが、どうした要因で二つ旋毛になるのかはまだ解明されていないのだそうだ。だが、遺伝的要素はある。亡くなった妻には彼女と同じように旋毛が二つあったからだ。そして息子(つまりは彼女の父だが)には現れなかった何らかの遺伝子が、息子をとおして彼女につたわったのだろう。こうして命は続いて行くのかと、遺伝子の不思議を感じた。

今はただ、彼女の無事な成長のみを祈り願う。