引き継がれるもの

長年、Bree “Natur MAX” というヌメ革の鞄を使ってきた。1987~8年頃に、北山にあったBreeの店で購入したものだ。当時としては、かなり思い切った買い物だったと思う。

できれば一生使えるモノ、丈夫で修理ができるもの。サイズとしてはA4がゆっくり入り、ラップトップPCも入る、しかも背負うことができる(自転車で通勤していたため)。そんな鞄を探して行きついたものだった。

モノに関して、私は流行り廃りに興味はない。衣類、靴、時計、文房具、家具、台所用品などなど、「定番」と言われるものを好む方だ。そうしたものはわずかな期間で劣化しないし、修理ができ、長く使うことができる。事実、使ってきた。こうした日常のモノについての考え方は、ある意味で人生観の一端でもあると思う。

この鞄は手入れもし大事にしてきたつもりだが、30年近く使ってきているので、色はアメ色に変わり、雨のシミもあれば、タイやインドネシアでついた傷もある。

それを、今年、上の息子に譲った。この鞄ならば、彼が現役の間は十分に使ってもらえるものだと思う。妻が使っていたBreeの鞄は、形見わけで姪に渡した。モノと同時に、私たちの考え方、その一片でも伝わればと願う。