送り火の山にのぼる

如意ヶ嶽(大文字山) 2016.08.16 04:55今年も、送り火の朝、大文字山にあがった。「大」の字の要に着いたのは5時前だった。京都の町はまだ夜だ。湿気のある空気のなか、眼下の町は水の底に青く沈んでいるように見えた。

今年は、夜が明けきるまで、ここで京都の町を眺めていようと思った。

妻を送ったあの年から6度目の送り火だ。先に逝った人たちへの悲しみや寂しさは少しずつ、本当に少しずつ、思い出に変わってきたように思う。逝った人たちへの思いはなくならないし、忘れることもない。ただ、その悲しみや寂しさと共に生きる術(すべ)が少しずつ身についてきたのではないか、と思う。