11月になった。夜明けの時間が少しずつ遅くなり、6時を過ぎる頃、ようやく陽がさし始める。今朝、初めて見る不思議な雲が比叡山にかかっていた。赤く朝焼けに染まりそうなのに、夜を遺しているような雲だ。
宝ヶ池の対岸まで歩いてくると、空の雲は、水に垂らした薄墨がひと吹きの息で少しずつ姿を変えたように広がり、朝日は山の向こうに白く輝いていた。
池からは靄がたちのぼっていて、水面に映る雲はひときわ輝いて見えた。京都国際会館の前まで来ると、雲は朝日を受けてオレンジ色に変わっていた。空の色は夜明けから朝になった。
薄雲の空に紅葉が鮮やか映えていた。