謎の ”ジョアン・ウォルギャン” さん

ある人のウェブサイトのトップページに「ジョアン・ウォルギャン」の言葉として箴言らしきものが紹介してあった。この「ジョアン・ウォルギャン」という名前について、私は心当たりがなかったので、単純にどんな人だろうという疑問から調べてみた。

この「ジョアン・ウォルギャン」について検索してみると、意外なことに相当な数のサイトやブログに名言を残した人として引用されているのが判った。だが、この人が誰でどんな作品あるいは事績をのこした人なのか、説明をしているところがないのだ。引用したり紹介している人が「ジョアン・ウォルギャン」って誰なのかを知らないという(いや、私が知らないだけかも知れない)、じつに不可思議に思った。

「カタカナ」では調べられないので、アルファベットで検索してみた。それでようやく、”Johann Wolfgang von Goethe” を英語読みにした誤読ではないか、それをカタカナで表記したのではないかと思いあたった。私たちに馴染みのあるドイツの作家ゲーテのことだ。ドイツ語読みでは、ヨハン・ヴォル(フ) ガン(グ)・フォン・グゥタァ、とドイツ人の知人は発音していたので、ゲーテも現地の読み方・発音とは微妙に異なる。

外国の人の名前をカタカナで表記するのは、一応、現地語読みが原則と言うことになっている(と思う)。その点では「ゲーテ」も「グゥタァ」の聞き間違いなのではないかと思うが、当時、日本に紹介した人に訊いてみなければ判らない。少なくとも「ジョアン・ウォルギャン」と紹介されなかったことだけは確かだ。

さて、件のある人のサイト、当人に「ジョアン・ウォルギャン」さんて誰ですかとメールで訊いてみた。返事は「誰か知らないけど、良い言葉だったので紹介した」のだそうだ。「出典は」などと尋ねても無理なので、それ以上は訊かなかった。

このサイトで紹介されていた言葉、どの作品からの引用なのだろうか、もしくは手紙かと、英語やドイツ語のサイトを探してみたが、この言葉の出典や典拠は判らなかった。英語版のWikipediaには「広範囲に流布しているが「出典不明の言葉」と記載されていた。