八幡堀を歩きたくなった。歩くなら天気のよい、早朝がよい。観光地だけに朝8時を過ぎると人が増え始める。日牟禮八幡宮への参道には車を駐めるに十分な場所がある。この日、まだ駐車している車はほとんどない。参道脇の店もまだ開いていない。まだ日があたっていない堀の水は深い碧色で、水にうつる景色が鮮やかに見える。
船着き場を過ぎて西へ歩くと、土蔵を改装したカフェがある。シフォンケーキが美味しかった記憶がある。開くのは2時間先だ。街中にはW.M.ヴォーリスさんが設計した建物が残る。旧八幡郵便局もその一つだ。建物には少しずつ削るような時間の経過が刻まれてゆく。近江八幡は、妻と一緒に、何年かごとに訪れていたところだった。おそらく、もう来ることはないだろう。