10月になって夜明けの時間が6時を過ぎるようになった。この頃になると朝日は比叡山の南、中腹よりももっと下からのぼる。
晴天の日、夜明けが近くなると山は、少しずつ夜の空から浮き上がってくるように姿が見えはじめる。山の端は薄墨から白くなり、そして柑子色(オレンジ色)に変わってゆく。上空、空の奥はまだ夜だ。
いつもの散歩道、池の水面から霧があがり始めるのも秋が近づいてきた標だ。こんな朝は不思議に静かで、この日は散歩する人も少なかった。
都会に住みながらも、自宅から歩いて行ける場所に誰もいない静けさがある、それはとても贅沢なものだ。