風薫るのは皐月なのか

「風薫る」ときけば、ほとんど反射的に「五月」を思い浮かべるのだが、いつ頃からそうなったのだろうか。 風かをる軒のたちばな年ふりて しのぶの露を袖にかけつる は、鎌倉時代初期(1204年)の「秋篠月清集(藤原良経の私家集)...

解消しない疑問

「小説」の読み方は人それぞれだろう。たんに面白い話、よく出来た物語として読む人もあれば、作中の人物にだれかを投影する、共感して読むという人もあるだろう。私は、どちらかと言えば客観的に読む方だと思う。 作者はどういう意図で...

邦題は知らない

同世代の人たちと話をしていて音楽の話題になった。その会話のなかで、私自身が驚くほど曲名を憶えていないことに気付いた。正確には、はやった洋楽について、原題は憶えていても邦題をまともに記憶していなかったのだ。だからか、話が微...

本を寄付する

私と妻の共通点のひとつは本好きということだ。結婚したとき、互いが持ち込んだ本が千冊を超えていた。書棚もお互いのものを持ち込んだが、それではすぐに足りなくなり、最初に買った大型の家具がガラス扉のついた桜材の書棚だった。もち...

5年目の桜

今年も高野川沿いの桜が満開になった。 ほぼ毎日、夜明け近い時間に散歩をしていると、桜の樹は1月下旬くらいから少しずつ少しずつ花をつけるために変化していることがわかる。上の写真は4月3日午前5時53分。下の写真は同日午前6...

さまざまな春

夜明けの散歩は、ときにこうした景色を見せてくれる。 比叡山に陽がかかってくると山の端は白く輝き始める。この日は重い雲が空一面を覆っていた。日の出の時だけ雲が少し切れた。その切れ目から朝日が解き放たれたようにさしてきた。(...

自転車だから出会うもの

3月も下旬になると、穏やかな朝がつづく。自転車で走っていても心地よい。神馬堂に焼き餅を買いに行こうか。上賀茂神社へ向かう道は南側に社家の屋敷が連なる。ふと見ると、一本の木に紅白の梅が咲いていた。柔らかな春の朝日があたって...

夜明けに散歩する理由

私が生活スタイルを朝型に変えたのは三十代も終わる頃だった。昼間の仕事で疲れ果てた出張先で、ホテルに戻ったのが夜の10時過ぎ、あまりに眠くてそのまま横になった。はっと目を覚ますと午前3時だった。疲れもとれ、思いのほか頭もす...